庚申塔のある風景


60日に一度の庚申の日、身体の中に棲む三尸虫という虫が夜中に天帝のところに自分が寄生している人間の悪口を言いに行くんだそうで、それを防ぐために庚申の日はみんなで集まって寝ずに宴会をするというのが、いわゆる庚申信仰です。起源は中国の道教で、日本では平安時代から行われていました。それが江戸時代、庶民の間で大流行。3年18回続けた記念として、たくさんの石塔が立てられました。いわゆる庚申塔です。
庚申塔にもいくつかタイプがあって、青面金剛という神様の彫刻があるものや、猿田彦が彫られているもの。同時に三猿『見ザル・言わザル・聞かザル』が彫られていたりします。ただ、時代が新しくなると写真のように『庚申』という字が彫られているだけのものが多くなりました。
開発や道路の拡張などによって庚申塔やお地蔵様は邪魔者扱いされ、ちょっとずつ姿を消していっています。神社やお寺の片隅に集められることが多いようです。この庚申塔は田んぼの真ん中にポツンとあって、ちょっとお米の形に似ている気がして、とても気に入りました。